南太規, 堀越智, 酒井健一, 酒井秀樹, 阿部正彦
色材協會誌 84(2) 39-42 2011年2月 査読有り
疎水性の単層カーボンナノチューブ(SWNTs)表面への界面活性剤分子の吸着挙動を分子動力学法および濁度,分散率測定による実験的手法により検討した。本論文では,一般的な界面活性剤分子であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)をモデルとして用い,その構造による吸着挙動の違いとそれが疎水性粒子の分散率に与える影響について議論した。SWNTsの分散率の違いが界面活性剤分子の構造によって異なることを実験的に見いだした。SDS分子の親水基は吸着の初期において疎水性表面に吸着し,疎水基は疎水性表面において吸着度脱着を繰り返した。SDSと比較して,CTAB分子は疎水性表面に安定な吸着層を形成した。結果として,SDSおよびCTABのSWNTs表面への吸着挙動がまったく異なりこれが分散率の違いに大きく影響していることが示唆された。