岡部聰子, 木内妙子, 石川ふみよ, 矢代顕子, 塚本尚子, 島田真理恵, 下枝恵子, 川村佐和子
東京保健科学学会誌「東京保健科学学会誌」 6(3) 185-192 2003年12月 査読有り
本研究は, 東京都という地域性を踏まえ皆既ある専門看護師カリキュラムを検討する基礎資料とするために, 看護者の専門看護師への具体的ニーズを明らかにすることを目的とした。臨床経験5年以上の教員養成講座生(60名)を対象に, 専門看護師の機能に関する質問紙調査を実施した。37件の回答が得られた(回収率61. 7%)。CNSの機能に関する項目は, 「実践」「コンサルテーション(相談)」「教育」「研究」「調整」の領域に関する26の質問からなる。調査の結果, 以下のことが明らかになった。1. 看護者の94. 4%が自分の病院に専門看護師を「是非必要」「出来れば必要」と回答し看護管理者を対象とした調査の結果と同様, 専門看護師の必要性の認識はかなり高い。2. 専門看護師の機能に関する項目では, 「実践」「研究」に関する期待が高い。3. 専門看護師が採用される場合には, 「人間性」「知識・技術」「協調性」の順で重視している。4. 臨床経験5年以上の看護者は, 専門看護師制度を自分たちのキャリアアップと結びつけ, 仕事をしながらキャリアアップを望んでいる。以上のことを踏まえ, 東京都の地域性を考えた専門看護師の教育カリキュラムには, 看護専門識者のキャリアラダーを念頭に置き, 専門職としての実践面, 研究面での知識・技術はもとより, 人間性, 自律性をもつ人材, そして感染を始めとして小児, 地域などそれぞれの領域での専門性を発揮できる人材の育成が必要であると提言する。