塚本 尚子, 結城 瑛子, 舩木 由香, 田中 奈津子, 山口 みのり
日本看護研究学会雑誌 32(5) 5_105-5_112 2009年
本研究は,組織風土が看護師のバーンアウトに及ぼす影響を明らかにすることを目的として行った一連の研究のひとつである。本稿では組織風土という視点から,看護師長のあり方に焦点を当て,スタッフの看護師長のあり方の認識とバーンアウトとの関連性を検証する。質問紙調査を行い540名の看護師から回答を得た。看護師長のあり方尺度は,⑴スタッフへの配慮,⑵看護への取り組み姿勢の2因子で構成されていた。2つの下位尺度得点には,病棟間で有意差があった。またバーンアウトとの関係では,スタッフの経験年数層によって影響に違いがみられた。中堅看護師層では,看護師長のあり方尺度の2つの下位尺度と個人的達成感との間に中程度の相関があり,看護師長のあり方認識は中堅看護師の能力の発展に関連することがわかった。新人看護師層では,看護師長のあり方の認識はもっとも肯定的であり,脱人格化や情緒的消耗感を抑制していた。