三好, 寺田, 久光, 森野, 小川
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 J89-B(8) 1367-1378 2006年8月1日 査読有り
近年,無線端末の自律分散制御でネットワークを構成するアドホックネットワークが注目されている.無線通信では,通信可能範囲の相違等から,双方向の通信ができない片方向リンクが存在する.アドホックネットワークにおいて効率的な通信経路を確立するためには,片方向リンクを考慮した経路探索が必要である.一方,片方向リンクを考慮した従来のアドホックルーチングプロトコルでは,経路探索パケットのブロードキャストにより往路を探索した後,再度ブロードキャストを繰り返すことで復路を探索するため,大量の制御パケットが送信されるといった問題がある.本論文では,片方向リンクの存在を考慮した上で,復路探索時の制御トラヒックを低減するアドホックルーチングプロトコルを提案し,シミュレーションによる評価を行った.その結果,提案方式は,片方向リンクを考慮した従来のルーチングプロトコルと比較して,制御パケット数を小さく抑えながらかつ十分な経路探索能力を維持できることが分かった.