松岡 龍汰, 米田 安希子, 山下 遥, 後藤 正幸
人工知能学会全国大会論文集 JSAI2023 1G3GS103-1G3GS103 2023年 査読有り
従来の推薦システムの分野では, ユーザが直接アイテムへの満足度を付与した評価値データを用いた評価値予測のモデルが多かった. 近年では, 購入履歴などの行動履歴データ(暗黙的評価)を活用した推薦モデルが広く活用されている. 暗黙的評価を用いたモデルの1つにNeural Collaborative Ranking(以下, NCR)が提案されている. NCRは暗黙的評価が観測されていないアイテムの中で, 次に暗黙的評価が観測される確率の高いアイテムを推定し順位付けを行う手法である. 一方, 現実問題では, ECサイトにおける購買と閲覧のようにレベルの異なる複数の暗黙的評価が観測される場合が存在する. しかし, 従来のNCRのモデルでは複数の暗黙的評価を区別して学習することはできず, 観測されるデータを十分に活用することができない. そこで本研究では, 複数の暗黙的評価を活用したフレームワークであるDingらの方法を援用し, NCRにレベルの異なる複数の暗黙的評価を考慮したモデルを提案する. また, 実データを用いて, 精度評価を行うことにより, 提案手法の有効性を示す.