桑原 英樹

<p>マルチフェロイック物質 Cu_3_Mo_2_O_9_ では W^6+^ イオンを Mo^6+^ イオンがあるサイトに固溶させると、歪んだ四面体磁性鎖に影響を与えず格子系に乱れを導入することができる。我々のグループは、微分磁化の磁場依存性の振る舞いが二つの置換濃度の間で急激に変化する事を報告している。その境界濃度領域での微分磁化の詳細な置換濃度依存性を、今回は報告する。</p>

&lt;p&gt;CaBaCo_4_O_7_とCaBaFe_4_O_7_は同じ空間群に属し、室温で自発電気分極を持ち、64K(Co),275K(Fe)で異なる磁気構造を持つフェリ磁性転移が起きる。この磁気転移に伴って電気分極の変化が生じるが、そのメカニズムは明らかでない。本研究ではCaBaM_4_O_7_(M=Co,Fe)単結晶を作製し、磁気転移に伴う結晶構造の変化や、異方性を考慮した電場（磁場）下における磁化（電気分極）を調べ、両者を比較した結果を報告する。&lt;/p&gt;

<p>層状Mn酸化物La_2-2x_Sr_1+2x_Mn_2_O_7_（LSMO）はホールドープ量xによって物性が大きく変化するが、そのメカニズムは未だ解明されていない点が多い。物性理解の為には詳細な電子構造の測定が重要であるので、我々は電子構造の直接観測が出来る角度分解光電子分光（ARPES）を用い、超巨大磁気抵抗効果を示すx=0.4や相が複雑化しているx=0.5における電子構造の測定を試みた。</p>

<p>我々は56Tまでのパルス強磁場下においてBa_2_CuGe_2_O_7_単結晶の磁化および電気磁気効果を測定した。磁化測定の結果は20Tを超えた磁場下でスピンが飽和している様子を示しているが、電気分極測定の結果はスピン飽和後も顕著な電気磁気効果の存在を示している。本会ではこの物質が磁気秩序相および磁化飽和状態で示す電気磁気効果の起源について考察する。</p>

<p>RBaMn_2_O_6_(R=希土類)はRとBaが層状に規則配列した構造を持っており、その規則配列の乱れによって物性が大きく変化することが知られている。本研究ではRBaMn_2_O_6_のR/Baの規則配列のわずかな乱れが、物性に与える効果を調べた。前回、我々はR/Baの規則配列のわずかな乱れが、強磁性相を安定化させる傾向があることを報告した。今回、多重臨界点付近のR/Baのわずかな乱れが、電気抵抗率や磁化に与える効果を詳細に調べたので、それについて報告する。</p>

<p>過剰に還元した電子ドープ型T'銅酸化物超伝導体Pr_1.3-x_La_0.7_Ce_x_CuO_4+δ_の電子状態を明らかにするために、x = 0.10の単結晶を用いて、様々な還元アニールを行った試料を用いて磁化率の測定を行った。その結果、過剰な酸素の抜け方によって超伝導転移温度や超伝導の体積分率が変化することがわかった。講演では電気抵抗率、比熱、ミュオンスピン緩和の測定結果も報告し、電子状態について議論する｡</p>

<p>EuTiO_3_は大きな磁気誘電効果を示すことで知られている。Ti^4+^をAl^3+^で一部置換したEuTi_1-x_Al_x_O_3_（ETAO）は、Eu^2+^/Eu^3+^の混合原子価を持つ強磁性絶縁体となることを我々は以前報告している（0≤x≤0.1）。今回我々はETAO（0≤x≤1）をアーク溶解法を用いて作製し、その電気的、磁気的性質について調べた。その結果、Al^3+^を置換することで磁気誘電効果と量子常誘電性が抑制されることがわかった。さらにx=1近傍において量子臨界点の存在を示唆する結果が得られた。</p>