千葉看護学会会誌 25(1) 99-106 2019年8月 査読有り筆頭著者責任著者
本研究では、中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する人々が、症状悪化予防や治療のため日々どのように生活調整しているのか、特に身体面や社会生活面に着目し分析した。研究対象者は全員が65歳以上の男性で、半構造化面接を行い全員分のデータを質的統合法(KJ法)で分析した。分析の結果、【普段は身体面でCOPDを意識することはなく、むしろ呼吸とは無関係な身体部位のほうが気になる】【互いにCOPDをあまり意識せずに家族や知人と付き合う】【COPDのことを意識せず、隠しも強調もしない】【普段は特に考えもなく自由気ままに余生を送る】【自分が高齢であることを意識して日々の活動を選択する】【症状や健康維持活動への工夫をする】【タバコのマイナス面を強く意識した結果、禁煙を決意し実行する】という7つのシンボルマークが抽出された。研究対象者は意識的に生活調整している部分と、無意識的に生活を調整するに至っている部分とを併せ持つことが判明した。また、研究対象者はすべての生活調整の前提として、自分がCOPDであることを普段あまり意識していなかった。本研究からは、中等度COPDを有する人々に対する看護実践として、1)重症化を防ぐために、社会生活面や精神面に悪影響が出ない程度にCOPDのことを意識して生活するよう指導していくこと、2)禁煙達成のために、タバコに対するネガティブなイメージを何らかのかたちで強く持つよう指導していくこと、が重要であると考えられる。(著者抄録)