安東 彩乃, 石川 ふみよ
日本手術看護学会誌 19(2) 242-249 2024年3月 査読有り筆頭著者
近年,周術期医療の変化に対し,手術室看護師に求められる役割は手術室内にとどまらなくなっている。周術期医療が十分に提供されるためには,手術室看護師がより高い専門性を発揮することが重要だといわれているが,周術期看護の専門性は明確にされていない。そのため,今後の周術期看護の教育目標の設定や教育方法の示唆を得るために,手術室看護師が捉えた周術期看護の専門性を明らかにすることを目的とした。15名の手術室看護師を対象に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した。その結果,周術期看護の専門性として【患者・家族の安心を得るための術前・術後の援助】【麻酔下にある患者に対する患者の意思を尊重した援助】【術中の合併症予防と安全管理】【円滑な手術進行のための術中援助】【周術期を通して継続看護を行うための働きかけ】の5つのテーマが生成された。手術室看護師が周術期看護の専門性を高めるためには,「周術期看護」についての認識を深めること,今回明らかになった専門性の枠組みと内容を用いた現任教育を実施し評価することが必要であるとの示唆を得た。(著者抄録)