香山健太郎, 矢入郁子, 猪木 誠二
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 88-1(2) 536-546 2005年2月1日 査読有り
我々は, 市街地の歩行者に対して, 認知, 駆動, 及び情報入手の三つの要素行動を包括的に支援するようなシステムとしてロボティック通信端末を開発している.本論文では, その構成要素である一般道路監視システム(環境端末)とユーザ搭乗型知能移動ビークルIntelligent City Walker (ICW)とによる屋外環境認識, 及び認識結果のユーザへの提示方法について述べる.環境端末では, さほど交通量の多くない道路においてあらゆる動物体の軌跡を求めることを目的とする.その検出においては正規化距離を用いるほか, 夜間においては画面中の光源の有無によって状態を分類し, その状態に適したアルゴリズムを選択・実行している.また, 追跡には, 画面上での複数物体の重なりに対しロバストな時空間MRFモデルを用いた手法を用いている.一方, 知能移動ビークルICWは市販の電動スクーターに超音波センサ・赤外線センサ・ステレオカメラを取り付けて周辺の環境認識と障害物の自動回避を可能にしているほか, ロボティック通信端末の他端末からネットワークを通じて情報を得, それを搭乗者に提示できるようになっている.