伊藤 潔

ドメイン分析は, 対象領域(ドメイン)に固有な, 分析方法, 用語集, 仕様書, ライブラリ, ソースコードなどをドメインモデルとして獲得, 再利用することで効率的なシステム開発を行う手法である.ドメインモデルには, 帳票処理業務, 割当て業務など, 業種に依存しない共通業務が存在する.共通業務ごとに, プロトタイプを開発するプロセスをドメインモデルとして獲得することで, 他のドメインへも共通業務のプロトタイピングサイクルを適用し, 再利用できる.本稿では, 共通業務の観点からのドメイン分析の例として, 教務ドメインを協調業務, 帳票処理業務の観点から分析し, 教務情報システムを構成した.また, 協調業務, 帳票処理業務のプロトタイピングサイクルを実装したプロトタイピングツールを試作した.これらのツールを用いることで, 対象ドメインについて, 協調業務の観点から分析し, 業務の性能評価ができる.また, 帳票処理業務の観点から分析し, 結果をデータベース言語形式の出力で得ることができるので, この出力を用いてデータベース上で稼働させることで期待どおりに動作するか評価できる.

This paper proposes a bottleneck improvement method on a new type of Queueing Network with Shared Stores (QNSS) using qualitative reasoning. Based on heuristics and knowledges obtained from evaluation experts, the authors have developed a new "qualitative reasoning" -based expert system, named BDES-SS (Bottleneck Diagnosis Expert System for QNSS), which can identify the bottlenecks, analyze the sources, and provide qualitative improvement plan option for QNSS. QNSS has the different types of bottlenecks in comparison with the ordinary QN. Primary types of bottlenecks in QNSS are "bottleneck...

ドメイン分析・モデリングは,対象システム自身が本来もつ各種の性質や開発上の多様な知識を十分に分析し認識して組織化し,システムの開発に有効な,共通の対象領域(ドメイン)に属する,用語,問題の捉え方,システムの構造,システムの作り方等の,固有な概念構造を得るプロセスである.この概念構造をドメインモデルと呼ぶ.このドメインモデルを用いて,複雑で大規模な実際のシステム開発での生産性の向上と再利用の促進を図ろうとしている.得られたドメインモデルは,そのドメインに属するシステムを繰り返して開発する際の分類モデル,ひな型モデル,標準モデル,ハンドブック等として使われる.本概説では,ドメインの意味,ドメイン分析・モデリングの目的とプロセス,ドメインモデルの構成要素・記述手段・種類を述べ,また,ソフトウェアの再利用,ドメイン工学,要求工学,設計,リバースエンジニアリング等の観点からソフトウェア工学との関係を述べる.

対象システムが固有に待つ性質に着目して、複雑で大規模な実際のシステム開発における生産性の向上と再利用の促進を目的とする「ドメインモデリング/分析」について解説する。

This paper describes the Oil Shipment Scheduling Expert System (OSSES) to solve the oil shipment scheduling problems for berths and arms and the path selection problem. These problems have many complex constraints. Therefore, the expert system which can solve efficiently these problems is needed. OSSES can make one-day scheduling on shipping many petroleum products for many ships under the consideration of the deadlines and the line-blending and pipeline-cleaning mechanisms. OSSES can perform scheduling in response to some accident.

リアクティブシステムの開発環境Asdreas(Architecture for the Specification and Design of REAc-tive Systems)の目的は,リアクティブシステムの要求分析と主要な基本的な機能の列挙をサポートすることである.リアクティブシステムは,プラントの計測・制御・監視を目的としたリアルタイムシステムである.Asdreasを構成する際に,現実のリアクティブシステムの問題領域とシステムにまつわるさまざまな要因について,十分に分析を行って.その結果,リアクティブシステムの要求分析と機能列挙向きのドメインモデル,三群状態遷移モデル(STD Triad)を考案した.Asdreasでは,リアクティブシステムは,制御する側のリアクティブスーパバイザと,制御される側のリアクティブプラントから構成されるものと認識する.これらは,互いに相手のアクションに対してリアリタイムなリアクションを行う.Asdreasの要求分析・設計手法の特徴は次の2点である.A)プラントの挙動をシステムの分析と設計上の問題として明確に認識.B)リアクティブシステムの挙動を,STD Triadの枠組みに基づいて(1)自然状態群,(2)作用状態群,および(3)目標状態群の3つの状態群に類別されたプラントの状態遷移図(Plant STD)として分析.本稿は空調制御リアクティ...

This paper describes a qualitative method by Bottleneck Diagnosis Expert System for Synchronized queueing network (BDES-S). On the basis of qualitative reasoning, BDES-S can carry out parameter tuning by diagnosing bottlenecks of synchronized queueing networks and by producing several alternative qualitative improvement plans. This paper also analyzes the differences betweeen ordinary and synchronized queueing networks.

Pseudo Boolean Algebraic Solution can be applied to automatic construction of all polyhedra from the given orthographic views. The orthographic views are called ambiguous if one or more polyhedra can be constructed from the views. Even if ambiguous orthographic views are given, personnel can construct a unique polyhedron with the use of their heuristics. Such heuristics can be also formalized by Pseudo Boolean Algebraic nonlinear integer programming in order to construct a unique polyhedron automatically from the ambiguouns orthographic views.

三面図からの多面体の自動物体合成法は多くの研究者によって開発されている.しかし,工学上重要な曲面を含んだ物体の合成法はあまりない.本稿では三面図から曲面を含んだ物体の自動合成を行う.三面図が表す3Dの多面体を求めるために,3D空間上の頂点と稜線からなるワイヤフレームモデルを自動的に作成し,それらの稜線で囲まれた領域を面として認識したサーフィスモデルを自動的に作成する方法が通常とられる.この方法をとると,虚物体要素を含んだサーフィスモデルを作成してしまうことが多い.この虚物体要素を取り除く方法には,試行錯誤的な探索プログラムによるものと汎用の代数解法によるものがある.本稿では,代数解法を用いた多面体のみの合成方法に,稜線が直線か曲線かの違いとその性質の違い(標準,輪郭,接)を新しい情報として付加して,曲面を含んだ物体の取り扱いを可能とした.所望の物体要素を得るために,物体要素群が多面体を構成するための規則および三面図に適合するための規則の他に,曲面物体を構成するための規則を用いた.それらの規則を非線形の擬似プール式で定式化し,それをもとに候補物体要素群に成り立つ関係を連立式として自動的に立式する.この連立式を自動的に解くことによって所望の物体要素群を求める.種々の例題に適用してこの方法の有効性を明らかにした.

Qualitative and quantitative reasoning can be applied to the parameter tuning process for the queueing network (QN) type system for improving its bottlenecks. This process consists of 3 phases, i. e., the diagnosis on bottlenecks and their sources, the estimation of the effects of the bottleneck improvement, and the determination of new parameters. On the basis of "qualitative reasoning" and "quantitative reasoning", 2 expert systems have been developed, i. e., BDES (Bottleneck Diagnosis Expert System) and BIES (Bottleneck Improvement Expert System) which can be applied to the 1st and 2nd p...

In the software development, requirements analysis and design phases produce un-executable specification documents by the aid of computers. The un-executable specification documents are reviewed and validated by personnel. As one of alternative approaches, the prototyping method can be recognized that visualizes the behavior of the objective software in their both requirements analysis and design phases. Simulation methods have been used as supplementary tools for software development. Simulation methods can be applied as one of the prototyping methods. As a result, the simulation activity ...

対象システムに悪影響を及ぼすものとその要因を解明し改善する作業は,一般的に手間がかかる.また,対象システムの規模が大きく複雑であれば,改善プランも数多く存在する.さらに,ある箇所を修正すると周辺への影響も大きい・このような作業は,通常,専門的な知識と経験を用いて行われている.これらの作業に対してエキスパートシステムを導入すると,評価や改善の効率を高めると期待できる.待ち行列ネットワークの形態にモデル化できるシステムを対象システムとする.また,この対象システムには過大な負荷がかかっている,すなわち,そのモデルである待ち行列ネットワークは,非定常(過負荷)状態にある,あるいはその可能性をもつシステムとする.このような待ち行列ネットワークに悪影響を及ぼすものとして,稼動率や待ち行列長が過大な窓口(ボトルネック窓口)に着目する.このような窓口の同定その要因の解明,および改善プランの提示を行う"ボトルネック診断エキスパートシステム(Bottleneck Diagnosis Expert System:BDES)"について考察する。そこで用いられるヒューリスティクな知識は,対象システム内の窓口の接続の形状やパラメータの大小関係により詳細に分類したものであるこれらは,Prolog言語の事実や規則を用いてインプリメントされた.

三面図が表す三次元物体を求める手段として,単純に各面図の頂点や線分について各面図間で対応をとり,三次元空間上の頂点と稜線から成るウイヤフレームモデルを作成し,それらの稜線で囲まれた領域を面として認識したサーフィスモデルを作成する方法が考えられる.この方法をとると,偽の物体要素を含むサーフイスモデルを作成してしまう場合がある.この偽の物体要素を含むサーフィスモデル(真と偽が混在する候補物体要素群)から所望の物体を見出すためのこれまでの多くの方法では,試行錯誤的な探索プロセスのアルゴリズムを提案している.我々は探索アルゴリズムの提案ではなく,連立の非線形の擬似ブール代数等式・不等式を用いた定式化による手法を提案する.そこでは,候補物体要素の真偽を適切に見極めるための真偽決定規則として,物体要素群が多面体を構成するための条件および三面図に合致するための条件を挙げる.それらの条件を非線形項による模似ブール連立式で定式化する.この定式化に基づいて候補物体要素群を連立式として立式する.この連立式の解を基に,多面体を構成し,かつ三面図に合致する物体要素群を求める.この手法を確立し,種々の例題に適用し,この手法の有効性を明らかにした.我々がすで提案した手法(線形擬似ブール代数による定式化)とは,定式化の際,非線形項を導入したという点で異なり,このため擬似プール代数解法の適用範囲が拡張できた.

"True Element Linking (TEL)" method is proposed for constructing solids from their orthographic views. Surface model representations of solids are constructed in straightforward fashion from orthographic views. Such representations may include ghost vertexes, ghost edges and ghost faces. Such ghosts can be removed by TEL method. Using the set of valid topological rules dominating surface model representations of solids, TEL methods uses trial-and-error searching mechanism and generates true surface model representations. The true surface model representations without ghosts come into solid ...