これまで、主に次の二つの観点で研究・教育を進めてきました。
1.しばしば単に「ツール」(道具)とみなされるものの、実や社会を形成する基盤にある言語の社会的・政治的意味を探る。
2.日本では、日本とはかなり前提が異なるアメリカを安易にモデルとして参照する傾向がみられるのに対して、
日本と国際的な立ち位置が類似し、多くの課題を共有しつつ、全く異なる対応を取ることが多いために、比較対象として
最適と思われるドイツを参照しつつ日本の過去・現在・未来を考える。
とりわけ、社会を形成・運営する基盤としての言語とエネルギーについて研究・教育を行っています。
いずれも、理論的・一般的検討と、しばしば新しい言語観やエネルギー利用法の震源地・実験場となってきたドイツ(をはじめとするヨーロッパ)の現地調査の往還をとおして、考察を深めていくことをめざしています。
研究:ソルブ語、ケルノウ(コーンウォール)語をはじめとするヨーロッパの少数言語
の動向および言語権など、少数言語の維持・復興に関する研究からはじまり、
言語教育および媒介言語論、すなわち異なる言語を話す人や集団の関係
に関する研究にもとりくんでいます。とりわけ、ドイツ・ポーランドをはじめとする中欧を調査地域としてきました。
地域レベル、国家レベル、国際レベルで多言語状況とどのように向き合っていけばよいのかを考えています。
以上のような言語社会研究の他、ドイツの「エネルギー転換」の背景にある思想とその実践面との関連についても研究しています。とりわけ、キリスト教界の環境問題への取り組みに焦点をあてて調べています。
主な研究テーマ
・ソルブ語の言語使用および言語イデオロギーの動向
・ケルノウ(コーンウォール)語の言語使用および言語イデオロギーの動向
・言語権概念の発展と実効性
・異言語学習における自己管理、言語意識の発達
・媒介言語の類型と特徴(国際語としての英語、エスペラント、その他)
・ドイツ・ポーランド間における民際交流と言語
・ドイツのエネルギー転換の思想と実践、とりわけキリスト教界の取り組み
教育:ドイツ語、ドイツ語圏社会研究(ドイツ・中東欧を中心とするヨーロッパの多文化・多言語状況、環境問題・環境政策)、社会言語学/言語社会学