研究者業績

永澤 済

ナガサワ イツキ  (Itsuki NAGASAWA)

基本情報

所属
上智大学 言語教育研究センター/大学院言語文化研究科 准教授
学位
学士(東京大学)
修士(東京大学)
博士(文学)(東京大学)

研究者番号
50613882
J-GLOBAL ID
202201012947533273
researchmap会員ID
R000033705

委員歴

 2

論文

 28
  • 永澤 済
    名古屋大学日本語・日本文化論集 29 25-49 2022年3月31日  査読有り筆頭著者
    文化庁の言語使用調査等でも指摘されているように、副詞「地味に」は近年、「地味に痛い」「地味に一番重要だ」「地味に全部消えている」等、新用法を派生させ、使用が拡大している。それら新用法の新しさとはどこにあるのか、コーパスの用例を歴史的に考察した結果、次の結論を得た。「地味に」の従来用法は専ら【様態副詞】であったのに対し、新用法はそれが【程度副詞】【叙法副詞】へと派生したものである。【様態副詞】が〈様態〉を表すと同時に〈程度〉をも表すケースを媒介として【程度副詞】が出現したとみられる。さらに、【程度副詞】において〈程度性〉の意味が後退し、〈表れ方が表立っていない〉ことを主眼とする用例が出現したことを発端に【叙法副詞】が成立したとみられる。【叙法副詞】が自己主張を和らげる控え目な表現としての機能をもったことが、使用範囲を拡大させたとみられる。様態副詞から叙法副詞への変化は日英語の副詞にも起きており、一般性のある変化傾向である。
  • 永澤, 済
    名古屋大学人文学研究論集 5 177-193 2022年3月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    言語研究 159 37-68 2021年3月  査読有り筆頭著者
    <p>中国漢文において助動詞「令」は〈使役〉を表すが,日本中世の和化漢文では,本来の〈使役〉用法から派生したとみられる独自の非〈使役〉用法が非常に広範囲に使用されている。この「令」の機能について,従来,取り除いても文意に影響しないとの見方や,〈謙譲〉〈再帰〉〈意志動詞化〉等の意を表すとの見方が示されてきたが,統一的な結論は出ていない。本稿では,従来の意味中心の分析ではなく,構文機能に目を向けることで次のように結論した。非使役「令」の機能は動詞マーカー/動詞化である。助詞や接辞を表し得ない和化漢文で,和語の軽動詞「する」を代替した。その起源は,本来使役を表す「S令V」構文が(他)動詞文と意味的に隣接するケースにおいて,「令」の表す使役の意が後退して単なる動詞マーカーと解釈されたものと推定される。Vの位置には,意志行為,非意志現象,無生物主体の事象,形容詞まで幅広く立つ。先行研究で「令」は「致」との類似性が指摘されたが,「致」の後続語は意志行為に限られかつ「令」の場合のような動詞化はせず名詞的性格にとどまる点で,両者の機能は異なる。</p>
  • 永澤 済
    日本語文法 21(1) 21-37 2021年3月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    日本語学 39 (2) 58-62 2020年  招待有り
  • 永澤 済
    名古屋大学日本語・日本文化論集 (26) 57-89 2019年3月31日  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    名古屋大学日本語・日本文化論集 25 83-103 2018年3月31日  査読有り筆頭著者
    留学生Aへの作文教育の実践例を示し、指導者が留学生個人の関心や能力をどのように引き出し、日本語の文章作品として結実させ得るか、について考察した。当初、Aの作品は、純粋な随想として執筆が開始されたが指導者の助言や添削を経て、最終的に、前半に随想3点、後半にアカデミック・レポートを置く、アカデミック・エッセイのスタイルに発展した。この実践例が示すのは、学生は〈書きたい内容〉にたどり着けば、自らの能力を活性化させ、主体的に執筆を進めるということである。よって指導者は、学生の〈書きたい内容〉を引き出し発展させられるよう、原稿や対話を通して学生の関心を汲み取る姿勢をもつことが重要だと思われる。母語と母語以外での作文教育を比較すると、「自分にしか書けないことを誰にも伝わるように書く」といった「文章の基本」は共通しているが、大きく異なるのは、母語以外の作文では〈書きたい内容〉と〈書ける内容〉が乖離することが多いという点である。このようなケースにおいて、学生の〈書きたい内容〉の方を、評価し尊重することが重要であり、以後の執筆意欲につながると思われる。同時に、学生が自力で〈書ける内容〉のレベルを高めるため、文章読解による表現の獲得、文法の基礎力養成など、インプットにあたる教育が必要である。
  • 永澤 済
    お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所比較日本学教育研究部門研究年報 = Comparative Japanese Studies annual bulletin (14) 196-202 2018年3月  招待有り筆頭著者
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集 38 163-175 2017年9月30日  査読有り筆頭著者
    前稿(永澤 2016)で、戦前、伝統的な非口語体判決が大勢を占める中で口語体判決を書いた一人の裁判官の先駆的試みを取り上げたが、その後任の裁判官もまた、同じ飫肥区裁判所で口語体判決を書いていた。前任者に倣った面があるものの、ひらがなでなくカタカナによる伝統的なスタイルに回帰し、主文には命令形を用いたり非口語体を用いたりするなど、独自に口語化を追求した跡が見て取れる。ともに口語体判決を企図しながら異なる様相を呈す二人の裁判官の判決は、口語化の実現が一筋縄ではいかなかったことを示している。
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集電子版 38 e107-e117 2017年9月30日  査読有り筆頭著者
    前稿(永澤2016)で、戦前、伝統的な非口語体判決が大勢を占める中で口語体判決を書いた一人の裁判官の先駆的試みを取り上げたが、その後任の裁判官もまた、同じ飫肥区裁判所で口語体判決を書いていた。前任者に倣った面があるものの、ひらがなでなくカタカナによる伝統的なスタイルに回帰し、主文には命令形を用いたり非口語体を用いたりするなど、独自に口語化を追求した跡が見て取れる。ともに口語体判決を企図しながら異なる様相を呈す二人の裁判官の判決は、口語化の実現が一筋縄ではいかなかったことを示している。
  • 永澤 済
    名古屋大学日本語・日本文化論集 24 27-44 2017年3月31日  査読有り筆頭著者
    複合動詞「Vおく」衰退の実態を、資料から得た実例とコーパスにおける用例数推移により示した。「Vおく」は、古代から近代まで前項Vに多様な動詞をとる生産性の高い複合動詞として多用され「送置」「差遣し置く」「要求し置く」等の形で、(a)存在、(b)効力持続を広く表すものであった。しかし、現代には、前項Vに立つのは「書く」「取る」等の限られた動詞のみとなっている。この変化について近代コーパスで調べた結果、「Vおく」の用例数は、1895年の300例あまりから徐々に減少し、1925年時点では約10分の1の30例であった。このことから、「Vおく」は近代に用法が限定化し、現代のような生産性の低い複合動詞に変化したと結論した。 identifier:http://hdl.handle.net/2237/25999
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集 電子版(eTULIP) 37(eTULIP) e55-e68 2016年9月30日  査読有り筆頭著者
    研究ノート Source Materials and Remarks
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集 37(TULIP) 147-160 2016年9月30日  査読有り筆頭著者
    論文 Articles
  • 永澤 済, NAGASAWA Itsuki
    言語文化論集 38(1) 39-50 2016年9月21日  査読有り筆頭著者
    identifier:http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/research.html identifier:http://hdl.handle.net/2237/24963
  • 永澤 済
    漢字文化研究 : 漢検漢字文化研究奨励賞受賞論文集 (3) 87-115-115 2012年  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集 31 135-164 2011年9月30日  査読有り筆頭著者
    近代日本語における漢語の連体修飾形3種(「-の」「-なる」「-な」型)の勢力分布の推移を調べた。漢語93語を調査対象に、「-の」「-なる」「-な」型のコーパス内出現数の年代推移を調べ、推移のパターンを5タイプに分けた。その結果、多数の語で、近代期に「-の」型と「-なる」型が衰退し、代わって「-な」型が大きく伸張したことが明らかになった。特に、1917-1925年の区間に「-な」型の増加率が飛躍的に高まったことがわかった。注目されるのは、この1917-1925年という年代区間である。これは「-さ」型の漢語名詞用法の出現数が飛躍的に増加する時期と重なる。この時期、漢語は原初的な無標の名詞として用いられる段階を脱し、多くが和語の接辞「-な」や「-さ」のような品詞のマーカーを具え、日本語への同化をより進めたものとみることができる。Sino-Japanese has greatly changed from the Early Modern Period to the Present. This paper deals with chronological changes in frequencies of Sino-Japanese adnominal forms -no, -naru, and -na in that period of time. The changes are divided into five types by examining 93 Sino-Japanese words. The results show that in many of the words the frequencies of -no and -naru decreased and that of -na increased significantly in the years between 1917 and 1925.In that period of time, the frequency of nouns with the Japanese noun-forming suffix -sa saw a similar large increase, whereas that of zero-suffix nouns decreased. This means that Sino-Japanese words which were at first taken into Japanese as nouns with no markers of word class have today settled as fixed adjectives or nouns with a Japanese suffix. This phenomenon can be called "assimilation into Japanese."論文 Articles
  • 永澤 済
    国文学 : 解釈と鑑賞 76(1) 153-162-162 2011年1月  招待有り筆頭著者
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集 30 115-168 2010年9月30日  査読有り筆頭著者
    日本語における漢語の中には、近代から現代にかけて、品詞用法に変化がみられる語が多くある(例 : 「帝王の暴虐が、頭腦に深刻せられ」)。現象自体はこれまでにも指摘されてきたが、個別の事例を指摘するにとどまり、変化の実態が十分に明らかになっているとはいえない。多数の語が、短期間に文法的機能を変化させたことは、個々の語を超え、大局的に捉えるべき現象だといえる。本稿では、そのための基礎データとして、漢語700語について、近代に、名詞・形容詞・副詞・動詞の4種のうちいずれの用法をとり得たのかをコーパス調査し、現代と比較した。そして、近代から現代に至る変化の実態を、「理論上」可能な変化パターン225通りと、「実際」に現れる変化パターンとの対比により示した。
  • 永澤 済
    (東京大学博士学位論文) 本編1-241, 資料編1-569 2010年9月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    東京大学言語学論集 27 163-185 2008年10月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    認知言語学論考 (7) 97-115 2008年9月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    日本語の研究 3(4) 17-32 2007年  査読有り筆頭著者
    現代より自他両用動詞の多い近代漢語動詞の自他体系が,現代までにどう変化したかをコーパスを用いて分析し,その要因を考察した。近代漢語が自動詞として存立するための条件<通常,他から人為的なはたらきかけを受けずとも成立し得る変化を表す>は,現代に至っても変わらないが,他動詞として存立するための条件〈非情物または非情物と有情物の両方が変化主体となり得る変化を表す>は,現代に至ると厳しくなり,非情物が変化主体であっても自律性の高い事象は他動詞で表せなくなった。結果,多くの自他両用動詞が自動詞専用化した。このような変化が起きたのは,漢語動詞が日本語への定着度を増すなかで,和語に倣い自他を分化させる方向へ力が働いたためと考えられ,それを可能にしたのが,他動詞化接辞として機能する「-させる」の存在だとみられる。一方,自動詞化接辞が日本語になかったことが,他動詞専用化した動詞の少なさの背景にあるとみられる。
  • 永澤 済
    東京大学修士学位論文 1-90 2005年3月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    日本語文法 4(2) 169-185 2004年9月  査読有り筆頭著者
  • 永澤 済
    東京大学教養学部学生論文集ΣΥΜΠΟΣΙΟΝ 1998/1999 261-266 2001年3月  査読有り筆頭著者

MISC

 9

書籍等出版物

 3

講演・口頭発表等

 21

担当経験のある科目(授業)

 29

所属学協会

 4

共同研究・競争的資金等の研究課題

 7

社会貢献活動

 5