萬代 雅希, 笹瀬 厳
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム 2003年1月8日 一般社団法人電子情報通信学会
モバイルIPにおいて有線チャネルの負荷を増大させることなく低ハンドオフレイテンシ特性を実現するために,移動端末および基地局の位置情報を用いたハンドオフ方式を提案する.提案方式において,移動端末および基地局はGPS等を装備することで位置情報を得る.基地局は周辺基地局の位置およびアドレスを把握し,移動端末との距離がしきい値を越えた場合に,移動端末に最も近い基地局をハンドオフ先として予想しパケットを複製して転送する.提案方式では,移動端末および基地局の位置情報を用いることでパケットの転送先を特定することが可能なため,有線チャネルのトラヒックの増大を抑えられる.また,移動元基地局がハンドオフを検出した際に移動先基地局に対してハンドオフを通知することで,移動先基地局が定期的にブロードキャストする広告メッセージ間隔を短縮させ,移動端末が自セル内に入ったことを認識するまでにかかる時間を短縮する.さらに,移動先基地局が移動端末からの登録要求を受信した際に,即座に仮登録メッセージを移動端末に返信することで,移動先基地局のアドレスを登録する時間を待つことなく移動端末が転送パケットの受信を開始できる.特性解析および計算機シミュレーションを用いて提案方式のハンドオフレイテンシおよびオーバーヘッド特性について評価し,提案方式は有線および無線チャネルにおけるオーバーヘッドをほとんど増大させることなく低ハンドオフレイテンシ特性を実現できることを示す.