Journal of Religion in Japan 5(2-3) 246-262 2016年 査読有り招待有り
This paper examines the meaning of the introduction of Clinical Pastoral Education (cpe) to Japan, as an example of one of the religious activities accepted in public space in a secular Japanese society. For over half a century, Christian clerics have tried to introduce the idea of chaplaincy to Japan, and Buddhists have attempted to develop a Buddhist form of hospice palliative care. The Japan Society for Spiritual Care was established in 2007 and began an accreditation process of ecumenically designed "spiritual caregivers," bringing interested parties together in Japan for education, peer support, and continuous training in spiritual care. The outpouring of national grief in response to accidents or natural disasters encouraged sponsors to create cpe training institutions at some universities. Challenging the Japanese understanding of the separation of religion and state, the introduction of chaplaincy can be seen as a case of religious practice that is accepted in public space.
巣ごもり読書会『Understanding Muslim Chaplaincy』 イスラーム・ジェンダー学科研 招待有り
「巣ごもり読書会『Understanding Muslim Chaplaincy』」では、2014年に刊行されたソフィー・ギリアット=レイ(Sophie Gilliat-Ray)氏の書籍Understanding Muslim Chaplaincyについて、イランにおける医療が専門の細谷幸子氏、イスラームにおける宗教と医療を専門とする葛西賢太氏が報告を行った。
細谷氏の報告では、ムスリム・チャプレンの基本的な活動内容と、ムスリム・チャプレンは登場してきたイギリスの歴史的背景に関する説明を中心に、本書の概要を説明した。その後細谷氏は、ムスリム・チャプレンの日本における発展の可能性と現状に対する問題提起を行い、報告をまとめた。その後の葛西氏の報告では、イスラーム法学者であるウラマーやイマームといった既存の制度と、ムスリム・チャプレンの違いや、アメリカのサード・スペースの動きと比較しながらムスリム・チャプレンの持つ特徴やそれを要請する社会的背景について深く考察がなされた。
両者の報告の後で、フロアの方から、報告に対するコメントや論点が多く寄せられた。まず、アメリカのムスリム・コミュニティを研究する方から、サード・スペースの成り立ちと社会背景に対する説明があり、既存の宗教権威とサード・スペースの間の緊張関係が指摘され、それと比較して今後のムスリム・チャプレンのあり方に対する質問が投げられた。また、日本ムスリム協会の方から、日本の刑務所におけるムスリムに対する教誨師の活動に関する現状や医療機関におけるそのニーズに対する補足説明があったほか、ムスリム・チャプレンの活動の質を担保する資格制度に対する質問なども挙げられた。さらに日本に住むムスリマの方々から、日本のムスリム・コミュニティと、それをサポートする自助グループの存在とその運営に関する説明や、ムスリマの悩みといったジェンダーに関する日常の問題に対する日本のムスリム・コミュニティの現状に対するコメントが寄せられた。
当日の報告者である細谷幸子教授・葛西賢太の配布資料を、イスラーム・ジェンダー科研のホームページからダウンロード可能。