研究者業績

川西 諭

カワニシ サトシ  (Kawanishi Satoshi)

基本情報

所属
上智大学 経済学部経済学科 教授
学位
学士(経済学)(横浜国立大学)
修士(経済学)(東京大学)
博士(経済学)(東京大学)

連絡先
s-kawanisophia.ac.jp
研究者番号
90317503
J-GLOBAL ID
200901013137804398
researchmap会員ID
1000306039

私はこれまで経済及び金融市場の変動に関する理論研究を専門にしてきました。非対称情報がある状況における経済主体間の駆け引きに注目し、ゲーム理論とりわけ進化ゲーム理論を応用した経済変動の分析を行ってきました。
現在は非対称情報がある経済状況の理論分析を為替市場の実証結果の説明に応用する研究にも携わっています。
非対称情報がある経済状況は非常に複雑であり、そのような状況で経済主体が実際に伝統的な経済理論で予測されるような行動をしているのかという疑問があります。この問題に関して理論、実証、実験と多様な側面から現在研究を行っており、とりわけ行動経済学、行動ファイナンス研究のアプローチに注目をしています。
近年は、経済学(行動経済学やゲーム理論の知見を含む)を応用した地域貢献、社会貢献に関心があります。

(研究テーマ)
銀行による貸出行動の変化に関する理論及び実証研究
証券市場における投資家行動(情報活動、戦略的行動、心理)の調査・研究
投資家の情報戦略が証券価格変動に与える影響の調査研究


論文

 17
  • 久田 満, 池辺 百花, 呉 哲煥, 川西 諭, 孫 明超, 田村 輝之, 田渕 六郎
    上智大学心理学年報 42 79-87 2018年  
  • 川西 諭, 田村 輝之
    行動経済学 12 87-104 2018年  査読有り招待有り
    本稿では,グリット(Grit)とマインドセット(Mindset)という2つの心理学概念に関する研究を紹介し,労働生産性向上をめぐる議論への含意,および行動経済学研究への応用の可能性について議論する.グリットとは,長期的な目標達成に向かって「やり抜く力」であり,本稿で紹介するマインドセット研究は「固定思考」と「成長思考」という2つの対極をなす思考を問題とする.既存のグリット研究とマインドセット研究はいずれも私たちの能力のうち,努力によって後天的に獲得される資質が常識的に考えられているよりも重要であること,そして資質の獲得が私たちの心理や思考によって強く影響を受けることを指摘している.これらの研究に照らすと,労働生産性を低水準にしている原因として,人々の考え方が,先天的資質を重視する固定思考に偏ってしまっている認知バイアスが浮かび上がる.
  • 川西 諭, 田村 輝之, 孫 明超
    行動経済学 10 S29-S32 2017年  
    <p>本研究は,信頼関係やネットワークを包含する「ソーシャル・キャピタル」の概念を用いながら,小さい組織や団体におけるコミュニティの状態を測定する方法の開発を試みる.日本国内の1600以上のNPO団体に所属するメンバーを対象に,社会心理学における質問紙調査法によって,所属団体に対する意識を調査した.回答結果を因子分析した結果,コミュニティの状態を測るうえで重要な意識として3つの因子,「理念共感と貢献意欲」,「自己有用感」,「居心地の良さ」が抽出された.これら3つの因子を説明変数とした回帰分析によって,これらの因子は「コミュニティへの愛着」,「主観的幸福感」,「主観的健康感」に,統計学的に有意なプラスの影響を与えることが確認された.この研究を応用することで,目には見えないNPO団体内の課題を可視化することが可能になり,より効果的なNPO団体のマネジメントが可能になるものと期待される.</p>
  • 川西 諭, 田村 輝之, 広田 真一
    経済経営研究 36(4) 巻頭1-3,1-30 2016年2月  査読有り招待有り
  • 岩壷 健太郎, 川西 諭
    Journal of Financial Studies 22(2) 27-64 2014年6月  査読有り
    This paper presents a new channel of foreign exchange interventions under which official announcements can improve the accuracy of private agents’ information and encourage risk-arbitrage thereby enhancing the informativeness of the exchange rate. Unlike the traditional signaling channel, this effect holds even when the central bank does not possess superior information to trad
  • 川西諭, 田村輝之, 功刀祐之
    行動経済学 5 152-156 2012年  
    2011年と2012年の2月に行った個人投資家を対象とするインターネットアンケート調査から,個人投資家の投資スタイルによる投資行動とパフォーマンスの違いを多面的に分析した.その結果,(1) 明確な投資スタイルを持つ投資家は大きく2つのグループ(「長期パッシブ分散派」と「短期アクティブ集中派」)に分かれること,(2) 2つのグループを比較すると,長期パッシブ分散派の方が相対的に,投資家間で運用パフォーマンスの差が小さく,投資満足度,幸福感が高く,ストレスや不安が少なく,資産の形成に成功していることが確かめられた.
  • 川西 諭
    東日本大震災 復興への提言 : 持続可能な経済社会の構築 162-182 2011年6月30日  
    東日本大震災による電力不足問題に対して経済学的な解決策を提言しています。
  • 川西諭
    横幹連合コンファレンス予稿集 2011 46-46 2011年  招待有り
    東日本大震災による夏季の電力不足に対して、日本の社会は電気料金の値上げではなく、一律の節電によって対応することを選択した。このような選択に至った多様な要因の中で、行動経済学的な要因に注目した仮説を展開する。
  • 川西 諭, 青木 研, 中川 雅之, 浅田 義久, 山崎 福寿
    行動経済学 3 138-140 2010年  
    花粉症対策事業を題材としてインターネットを利用した大規模経済実験を行い,地方公共財供給方法として募金と税金の2つのメカニズムの比較を行った.結果,税金メカニズムは募金メカニズムの3倍近い回答額となること,被験者の花粉症有病状況などの被験者属性が回答に大きな影響を与えることなどが明らかとなった.
  • 中川 雅之, 浅田 義久, 川西 諭, 山崎 福寿
    行動経済学 1 53-57 2008年  
    自発的支払メカニズムを対象としたframed field experimentを実施し,同メカニズムの現実的なパフォーマンス評価を行う.同時に実際の公共財を対象とした繰り返しCVMを実施することで,現実的な公共財供給メカニズムの評価を行うこととする.その際,固定費用負担比率メカニズムという政治的過程と同様の構造を持つ,公共財供給メカニズムをベンチマークとして導入し,自発的支払メカニズムを評価する.
  • 佐野 一雄, 川西 諭
    行動経済学 1 72-75 2008年  
    株式市場が上昇トレンドに転換した2002年4月から2006年1月までのTOPIXを用いて前場,昼休み,後場,取引時間外の収益率の差を検定する.時間帯の長さの違いを調整して厳密な比較を行った結果,上昇トレンドにもかかわらず,この期間の昼休み収益率は著しいマイナス値を示しており,後場と取引時間外よりも有意に低いことを統計学的に示す.原因として,行動経済学的な2つの代替的仮説を提示し,検討する.
  • 中川雅之, 浅田義久, 山崎福寿, 川西諭
    住宅土地経済 70 10-18 2008年  査読有り
  • 浅子和美, 川西諭, 小野哲生
    経済研究 53(3) 236-246 2002年7月15日  
    本稿では,枯渇性資源や環境問題が経済成長の制約となる状況下で世代間の分配問題を考慮すると,「持続的成長」がコンセンサスを得やすい選択肢となることを考察する.ここで持続的成長ないし持続可能な発展経路とは,時間の経過につれて社会厚生が低下しない経済成長経路であり,その意味で後世代に対して一方的に負担を強いることのない世代間の分配状況である.こうした問題の検討を対象とした分野を「環境と成長の経済学」と呼ぶならば,本稿はそのコンパクトな展望となっている.環境と成長の経済学では,基本的な問題認識として,望ましい経済成長とはいかなるものか,分権的市場機構で望ましい成長経路を達成できるか,の2つが主な関心事となる.実は,これらの問いに対する答えは,枯渇性資源を考える場合と環境破壊・汚染を考える場合とで異なる.その違いを明確にするため,本稿では当初これらを別の問題として扱い議論し,後にその総括を行う.In this paper we shall survey possibilities of sustained economic growth under the constraints on limited stocks of natural productive resources and on the maintenance of a clean environment. Our main concerns are, what is the desired course of economic growth in view of the equity among generations, and whether it is possible to attain such sustainable growth paths under the market mechanism. The results differ between the cases of exhaustible resources and of environmental destruction reflecting, respectively, the features of resource allocations without and with economic externality. We shall emphasize the balance between efficiency in resource utilization and equity of different generations.
  • Satoshi Kawanishi
    Review of Economic Dynamics 3(4) 801-830 2000年10月  
    This paper focuses on the delegation by bank managers of lending decisions to their agents, typically subordinate employees of the bank. We assume that agents may base their decisions about lending to borrowers on decisions other banks have made about these same borrowers. Then we show that there exist some lazy or negligent agents who neither directly monitor the borrower nor imitate the other banks if managers use relative performance evaluations as incentive schemes. In addition, it is shown that the learning or adjustment process of agents exhibits cyclical dynamics. Journal of Economic Literature Classification Numbers: D82, D83. © 2000 Academic Press.
  • 川西諭
    フィナンシャル・レビュー (42) 17-39 1997年6月  

MISC

 2

書籍等出版物

 10

担当経験のある科目(授業)

 5

主要な所属学協会

 2

共同研究・競争的資金等の研究課題

 6

社会貢献活動

 1

メディア報道

 1

その他

 4