長谷川 純, 小澤 由嗣, 森川 早苗, 小山 美恵, 玉井 ふみ, 山崎 和子, 吉畑 博代
人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 8(1) 57-66 2008年3月
言語聴覚士学生26名に2日間のアサーション・トレーニングを実施し,「相互作用不安尺度」(IAS),「特性的自己効力感尺度」(SES),「アサーティブ・マインド・スケール」(AMS)を用いて効果を検討した。いずれの尺度でも,トレーニング前後で得点は望ましい方向へ有意に変化(IASでは低下,SESとAMSでは上昇)した。トレーニング前の得点をもとに参加者を3群に分けると,もともと望ましさの高かった群(IASでは低得点,SESとAMSでは高得点)ではトレーニング前後でほとんど得点は変わらなかったが,その他の群では1つの例外を除いて有意な改善があった。例外だったSESの低得点群でも,統計的検定のp値は0.06で,有意レベルに近かった。アサーション・トレーニングは,相互作用不安の低減や自己効力感およびアサーティブネスの向上に有効であり,学生のコミュニケーション能力向上を支援する方法のひとつとして適切だと考えられる。