山中 高夫, 松本 良輔, 中本 高道
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス 102(255) 7-12 2002年7月23日
多数成分から成る混合臭の匂いを電子的に記録するために,新しい方式の匂い記録・再生システムを開発した.記録・再生システムでは,匂いセンサアレイを用いて,対象臭と同じ応答パターンを持つような複数要素臭を自動調合してその混合比を探索し,その比率を匂いレシピとして記録する.しかし,要素臭数を増やすと同一のセンサ応答パターンを持つ混合比が多数存在するようになり,従来,6要素臭以上を用いて記録を行うことが出来なかった.そこで,本稿では,特異値分解を用いて匂いレシピの探索空間の次元数を下げ,雑音の影響を除去してレシピ探索を行う方法を考案した.その結果,りんご臭に関して,特異値分解法により8要素臭を4次元空間に圧縮して対象臭を記録できた.記録した匂いを官能検査により評価して,対象臭と同じ匂いを再現できたことを確認した.