西城戸誠, 小内純子, 中澤秀雄, 大國充彦, 新國三千代
社会情報 14(2) 293-317 2005年3月
本稿は,一昨年よりSORDプロジェクトが目指している北海道データアーカイブ構築準備状況の年次報告である.とりわけ,この2年間続けてきた主要な道内社会調査の知識社会学的再発掘作業について一旦とりまとめ,来年度以降の作業への道しるべとしたい.道内社会調査史の全体像を描こうとする作業を通して我々が理解したのは,道内社会調査の再発掘はそのまま北海道資本主義史の再構成になるという事実であった.開拓社会の形成と変容(2節),大規模酪農地帯の形成と展開(3節),重工業都市の発展と衰退(4節)などのテーマを中心に全国的にも有名な多くの調査が集積した.このことは,道内社会調査の充実ぶりと,調査地選定の必然性を示すとともに,その限界と課題を示すものでもある.課題を踏まえた来年度の展開についても最後に言及する.