(Subject of research)
The Study of the history of Japanese Grammatical theory
The Study on the Japanese Stylistics in Meiji Era and Japanese Composition
The Study on Word-Formation of Modern Japanese
江戸時代の蘭学者、青木昆陽・前野良沢・宇田川玄随・中野柳圃のオランダ語研究の中において、「助語・助辞・助詞」などの用語がどのように用いられたかを検討した。合わせて、中野柳圃における「助詞」という用語の背景に、Marinの"Nieuwe Franche en Nederduitsche Spraakwyze"が介在している可能性を指摘した。
上智大学学内共同研究成果報告書「日本の文化受容における言語・思想・学問・宗教」(研究代表者・松岡洸司・2003〜2005年度), 54-65, Mar 31, 2006
江戸・明治期の国学者、鶴峯戊申・黒川真頼・物集高見の語学研究を概観し、その中にすでに西洋の語学研究の要素が取り込まれており、それが明治期の日本語文法研究に少なからぬ影響を与えたことを確認した。また合わせて、W.G.Astonの"A Grammar of the Japanese Written Language"の中に見られる伝統的語分類法が、岡倉由三郎『日本新文典』に影響を与えた可能性を指摘した。
本論文では、西周が参照した西洋文典として、箕作阮甫翻刻『和蘭文典前編』(天保十三年)と手塚律蔵・西周助閲『伊吉利文典』(刊年不明・原本一八五〇年)を取り上げ、「ことばのいしずゑ」の品詞の定義に『和蘭文典』の記述と一致する箇所が存在すること、「ことばのいしずゑ」の文典組織に『伊吉利文典』が影響している点を、指摘した。
そのうえで、留学の際に西周がオランダ語の授業を受けたとされるvan Dijkの執筆した"Nederlandsche Spraakkunst voor Inrichtingen van Middelbaar en Lager Onderwijs.(初等中等教育機関のためのオランダ語文法 一八六五)を取り上げ、van Dijkオランダ語の授業の状況をライデン大学所蔵の文書で確認するとともに、語構成の記述に際しては、『和蘭文典』とともにVan Dijkの文典が「ことばのいしずゑ」に影響を与えた可能性を指摘した。