研究者業績
基本情報
- 所属
- 上智大学 文学部史学科 教授 (ソフィア・アーカイブズ館長)
- 学位
- 修士(史学)(上智大学)
- 連絡先
- k-hojo
sophia.ac.jp - 研究者番号
- 90439331
- J-GLOBAL ID
- 200901096173750000
- researchmap会員ID
- 5000105678
【研究テーマ】
日本列島に暮らしてきた人々は、自然環境といかなる関係を持ち、そのなかでどのような心性を育み、言説を紡ぎ出してきたのか。地球規模の環境問題が深刻化する昨今、これらの問題を追究することは、歴史学に課せられた責務ともいえる。安易な共生論やエコ・ナショナリズム的言説を排しつつ、自然と融和/対立してきた列島文化のありようを客観的に跡づけ、人間とはいかなる存在なのかを歴史的に問題化してゆきたい。
【追究してきたテーマ】
日本古代仏教・神祇信仰と開発の関係に関する研究
東アジアにおける自然環境に対する融和的/対抗的心性・言説の成立と、日本文化における咀嚼・定着に関する研究
東アジア的歴史叙述の起源と特徴に関する研究
『法苑珠林』の注釈的研究
神社の起源に関する研究
パブリック・ヒストリーを用いた社会の再統合に関する研究(築地解体問題、明治神宮外苑再開発問題)
前近代クィア史にかかる方法論、および実証的研究
近代毛皮獣養殖の成立と展開、それにともなう自然観・動物観の変容に関する研究
論文
56MISC
47書籍等出版物
59-
文学通信 2021年3月 (ISBN: 9784909658470)中国を中心とする東アジア地域において、トラとの接触がいかなる生活文化を醸成してゆくか、古代から近代に及ぶ長いスパンのなかで通史的に叙述したもの。
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森話社 2020年12月24日前者では、本書の目的とその達成のための方法論を概説、パブリック・ヒストリーの課題達成のもとに、臨床歴史学という立場を打ち出した。後者では、現代社会において暗黙の前提とされる国民国家と、それが人間の進歩の到達点であるかのような通俗史観を批判し、その弊害と相対化の必要性を指摘した。
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績文堂出版 2020年12月10日COVID-19感染拡大下の世界および列島社会で、人びとの歴史実践がどのように行われているかを総括した。研究者の文章を含め、一般市民のそれがステレオタイプに誘導されるなかで、感染拡大の根本的原因を解決しようとする文明批判など、通俗的進歩史観を根本から見直そうとする傾向もみえることを指摘した。
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丸善出版 2020年4月いわゆる読む事典であり、「仏教伝来」「神仏習合」の2項目を担当、概要と最新の研究動向、自身の見解、参考文献について整理した。前者は環境史的文脈を意識し、後者はアジアのなかで捉える近年の情況を踏まえた。
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勉誠出版 2019年10月歴史部分の編集と、理論編「〈ありのままの事実〉を支えるもの―近代日本における歴史実践の多様性—」を担当した。近代歴史学による歴史叙述のほかに、他の理論によって〈実証主義〉的に記述された歴史の具体相を示し、かつそれらが現実を変えようとする歴史実践の性格を帯びていたことから、ヒストリカル・パスト/プラクティカル・パストの峻別は意味がなく、前者は後者に包括されることを述べた。
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上智大学出版会 2019年7月31日伊豆稲取に残る伊豆型道祖神、とくに折口信夫が「八百比丘尼像」と比定した石像を手がかりに、漁業に関わる祭儀・伝承、地震等に伴う災害民俗などを通じて、自然環境とそれとの相互交渉のなかで育まれたひとびとの生活、心性を描き出した。
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ミネルヴァ書房 2017年3月31日 (ISBN: 9784623079933)インドからチベット/モンゴルを経て中国、日本列島へと繋がる鴉鳴占卜(烏の鳴き声や様態から、今後生じる吉凶を占うもの)の系譜を、関連する厖大な史料を博捜し明らかにしたもの。
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岩波書店 2017年3月23日 (ISBN: 9784000256698)近年人類学によって提起された〈ホモ・モビリタス〉論(ヒトは移動ゆえにヒトになった)を手がかりに、定住のもたらすさまざまな弊害を、古代から現代に至る人類文化の展開のなかに読み取り、定住こそが文明発展の端緒であるという無意識の進歩史観を脱構築する。
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法藏館 2017年2月 (ISBN: 9784831860057)「行基と行基信仰」「仏教説話集の世界」の2項目について、これまでの研究史を踏まえつつ、現在の研究水準と論点を網羅した。
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2016年11月30日 (ISBN: 9784784218714)日本中世の宗教文化には、何らかの宗教能力者が神霊を牽引することで浄化してゆく仕組みをみることができる。これは、浄土神楽の祭文のなかでも典型的にみることができ、中国から伝来し変質した十王経系の民俗文化であると考えられるが、同じ成立過程を持つものに中国西南少数民族の喪葬歌「指路経」がある。両者を比較し、それぞれの特徴を明らかにした。
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勉誠出版 2016年10月11日 (ISBN: 9784585221494)民間の祠廟信仰を仏教の考え方のなかに位置づける神身離脱の言説が、中国で他の宗教との交渉を経ていかに成立し、列島文化へ導入されてどのように変質し定着してゆくかを、中国江南地方、日本列島の自然環境との関係において解明したもの。
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平凡社 2016年3月4日 (ISBN: 9784582703504)2015年の反安保法制市民運動を振り返りつつ、国会議事堂/国会正門前で展開されてきた/されるもろもろの市民運動のなかからアナーキーな想像力が喪失してゆく過程を、環境文化史に基づく〈水辺の権力〉の視点から読み解いてゆく。
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法蔵館 2015年3月31日 (ISBN: 9784831857309)成城大学民俗学研究所の共同研究の成果として、醍醐寺本『諸寺縁起集』の注釈を行った。筆者の担当した「放光菩薩紀」は、これまでほとんど研究が進んでいなかったが、遼の『三宝感応要略録』や、敦煌文書にみえる宝誌関係資料の接合であり、背景には宝誌信仰や観音・地蔵を治水神と崇める中国的信仰があることなどを明らかにした。
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東京大学出版会 2015年3月20日 (ISBN: 9784130230667)昔話「桃太郎」の初期形態を手がかりにしながら、現在、緑豊かな山林に囲まれたものと考えられている日本列島の伝統的な農村景観が、実際は低植生の柴草山に覆われていたことを、環境史・環境文化史の成果から論証してゆく。また、そのような記憶が忘却され、なぜ緑豊かな里山という幻想が生み出されるのかを問う。
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Sophia University Press 上智大学出版 , ぎょうせい (発売) 2013年7月 (ISBN: 9784324096352)四ッ谷鮫ヶ橋に存在するせきとめ稲荷の成立と変容をめぐって、記録に残らない社会下層の人々が見舞われた災害と、その克服のあり方を明らかにしようとしたもの。
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翰林書房 2013年6月 (ISBN: 9784877373511)『源氏物語』における宇治川の水音の表現を手がかりにしながら、洪水を頻発させる河川の水音について平安貴族がどのような認識を持っていたか、古記録類を渉猟しつつ考察したもの。
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吉川弘文館 2012年6月 (ISBN: 9784642014687)災害とは人間主観によって成り立つ概念であり、これを客観的にみるならば一種の環境の変化にすぎない。ここでは、環境史の定義や成り立ちを略述したうえで、災害を〈人外〉の視点からみることの必要性を説いた。
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竹林舎 2012年5月25日 (ISBN: 9784902084191)タブーをめぐる社会学・人類学・精神分析学の議論を参照しつつ、言葉・モノ・行為をめぐる禁忌を人間が生み出すメカニズムを、神話・漢籍・律令格式・儀式書・古記録など素材に考察、列島における禁忌の展開を「分節・分類の実践」として理解する展望を開く。
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勉誠出版 2011年8月 (ISBN: 9784585210078)鹿島徹氏の〈物語り論的歴史理解〉を、東アジア史の枠組みで実証したもの。以前から神仏習合研究のなかで触れていた修行テキストとしての僧伝の使用を、ホワイトの"practical past"の概念と絡めて明らかにした。
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Sophia University Press 上智大学出版 , ぎょうせい (発売) 2011年6月 (ISBN: 9784324090671)日本天台宗の特徴的宗論である「草木発心修行成仏説」の成立過程について、インド・中国の草木成仏論とその相違のなかから説き明かしたもの。
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平凡社 2011年6月 (ISBN: 9784582469073)『日本書紀』において仏が祟りをなすと書かれた記事が、中国文化のいかなる系統に属する言説形式なのかを、殷代から続く卜占と災異の文脈のなかで明らかにした。
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吉川弘文館 2011年1月 (ISBN: 9784642024778)中国から将来された〈太公兵法〉が、いかなる背景を持って成立し、日本古代・中世史のなかでどのような歴史的役割を果たしてゆくかを考察した。
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森話社 2010年5月 (ISBN: 9784864050104)映画史におけるCG表現の展開を跡づけるとともに、それが神話の映像化にいかなる意義を持つか考察した。
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森話社 2010年5月 (ISBN: 9784864050104)神話に表れた自然環境と人間との関わりをどのように考えるべきか、環境倫理・環境哲学などの面から紹介した。
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角川学芸出版 , 角川グループパブリッシング (発売) 2010年3月 (ISBN: 9784046515230)〈鎮魂〉という概念・心理・祭儀実践が持つ防衛機制的側面に注目し、個別の事例からアジア的思考へ視野を拡大しつつ、死者の主体に立ってその言葉を語ることが可能なのか論じた。
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竹林舎 2009年5月 (ISBN: 9784902084870)中央から伊勢神宮、熊野へ至る交通路について、諸史料から具体的に検討した。また、当時の「旅行者」たちが参詣の途上で何を思い、何を感じていたのか、心性史研究の立場から論じた。
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法蔵館 2008年5月24日 (ISBN: 9784831875617)
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Sophia University Press上智大学出版 , ぎょうせい (発売) 2008年3月31日 (ISBN: 9784324083925)
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勉誠出版 2003年11月 (ISBN: 4585001670)
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勉誠出版 2003年11月 (ISBN: 4585001662)
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新人物往来社 2003年7月 (ISBN: 4404030533)
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新人物往来社 2003年7月 (ISBN: 4404030533)
講演・口頭発表等
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みんぱく創設50周年記念特別展「民具のミカタ博覧会─見つけて、みつめて、知恵の素─」関連シンポジウム「Doing TSUNEICHI 『忘れられた日本人』を読み直す」 2025年4月13日 招待有り
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上智大学史学会例会ミニ・シンポジウム「地域の公共性から歴史学を考えなおす─⽴⽯と諏訪におけるパブリック・ヒストリーの試みから─」 2024年11月2日 招待有り
所属学協会
16共同研究・競争的資金等の研究課題
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2023年4月 - 2026年3月
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文科省 科学研究費 2019年4月 - 2022年3月
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文科省 科学研究費 2017年4月 - 2020年3月
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文科省 科学研究費 2016年4月 - 2019年3月
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文科省 科学研究費 2016年4月 - 2019年3月
社会貢献活動
12その他
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2024年6月上智大学キリスト教文化研究所2024年度連続講演会「伝統宗教と若者の懊悩─宗教は〈いま〉の⽣きづらさにどう応えうるか─」を企画、趣旨を執筆して講演者をコーディネート、シンポジウムの司会も担当した(6/15に開催)。
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2023年8月パブリックヒストリー研究会第15回公開研究会(上智大学史学会・上智大学文学部史学科共催)「過去を生まれ変わらせる可能性─歴史系マンガ作品の製作/読解にみる歴史実践─」を杉浦鈴とともに企画・コーディネート、シンポジウムの司会も担当した(8/26に開催)。
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2023年6月上智大学キリスト教文化研究所2023年度連続講演会「現代社会の分断と宗教/カルト─大学生における〈生存〉の危機と救い─」を企画、趣旨を執筆して講演者をコーディネートした(6/10に開催)。
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2022年6月上智大学キリスト教文化研究所2022年度連続講演会「病と宗教─COVID19の経験からみる差別と救済の境界─」を企画、趣旨を執筆して講演者をコーディネート、シンポジウムの司会も担当した(6/11に開催)。
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2019年7月 - 2019年9月本学学内展示ワーキング・グループ、史資料室と、学生団体「ソフィア・ヒストリー・クラブ」のコラボレーションとして、標記の展示を企画。データの取り方や史資料の読み方、キャプションの作り方、展示の仕方などについて、教授・監修を行った。