毛利 伊吹, 櫻井 美智子, 原 節子, 有賀 千晴, 酒井 由美子, 疋田 尋子, 磯邉 由紀枝, 濱野 晋吾, 矢崎 大, 佐藤 夏美, 舘野 由美子
精神科治療学 37(12) 1397-1406 2022年12月 査読有り筆頭著者
精神疾患による休職者を対象に,初回休職からの復職後の就労継続期間に影響する要因を検討した。対象は,精神科を受診した休職者66名(就労継続要因の検討では43名)であった。独立変数として,人口統計学的要因(年齢,性別,学歴等)と臨床的要因(初回休職の期間等),および就労継続要因(敗職後の職場における就労継続を促すと見込まれる要因)を用い,就労継続期間を従属変数として分析を行った。その結果,性別が就労継続期間を予測し,女性のほうが男性より有利であり,就労継続要因では,「安心できる職場環境だった」,「復職するのがよいと納得した」,「頑張ろうと思えた」,「出勤練習をおこなった」,「復職後の暇すぎる職場に耐えた」が,就労継続を予測した。本研究の結果より,初回休職からの復職後の就労継続を促進する上で,心理面への影響を考慮して支援を行うことの重要性が示唆された。ただし,探索的検討から得られた結果であり,今後の検証が求められる。(著者抄録)