研究者業績

川瀬 剛志

カワセ ツヨシ  (Kawase Tsuyoshi)

基本情報

所属
上智大学 法学部地球環境法学科 教授
学位
学士(法学)(1990年3月 慶應義塾大学)
修士(法学)(1992年3月 慶應義塾大学)
LL.M.(1994年5月 ジョージタウン大学ロー・センター)

J-GLOBAL ID
200901003620724936
researchmap会員ID
1000195325

 実定法としての国際経済法の研究に従事しており、特にWTO協定及び主要国におけるその国内実施法を研究している。これまでの研究テーマは以下に別記のとおりだが、最近はCPTPPを中心に地域経済統合に関する法的規律、国際投資紛争にも関心を拡大している。

 教育面では、実定法解釈学の側面を大事にしながら、学生に国際経済法の面白みを知ってもらえるよう努力している。特にWTO法は厳密な法的言辞に基づく論証が求められるところ、法的思考が重要であることを認識してもらいたい。

 

(主要研究テーマ:最近のものから順に)

・安全保障概念の拡大と自由貿易体制

・トランプ政権以後の反グローバリズムと多角的貿易体制の危機

・日本法とWTO協定の直接適用(豚肉差額関税事件)

・国家資本主義規律の国際経済法

・TPP12/CPTPPに関する包括的研究(批准、法構造、国有企業規律、デジタル、中国加入問題)

・文化多様性とWTO協定の関係

・金融危機下の国家援助とWTO補助金規律

・投資条約と経済危機

・WTOとFTAの紛争解決手続の管轄競合

・WTO紛争解決手続における履行問題

・緊急輸入制限(セーフガード)

・中国のWTO加盟と米国の対中最恵国待遇供与をめぐる法的課題

・多国間環境協定(MEAs)とWTO協定の関係

・関税交渉における相互主義原則

 


受賞

 1

主要な論文

 38

MISC

 61

主要な書籍等出版物

 17
  • 中西, 寛, 飯田, 敬輔, 安井, 明彦, 川瀬, 剛志, 岩間, 陽子, 刀祢館, 久雄, 日本経済研究センター (担当:共著, 範囲:第4章 自由貿易体制ver.1 の終焉とver.2 への展望――安保志向、断片的、非法的なレジームへ)
    日本経済新聞出版 2024年7月 (ISBN: 9784296120727)
  • DAI YOKOMIZO, YOSHIKO NAIKI, YOSHIZUMI TOJO, KEISUKE IIDA, HIROO SONO, YUKO NISHITANI, SHIHO KATO, TAKAO SUAMI, KAZUMOCHI KOMETANI, KAZUHIRO NAKATANI, TSUYOSHI KAWASE, TOMOKO ISHIKAWA, MASABUMI SUZUKI, OSAMU UMEJIMA, JUNJI NAKAGAWA, AZUSA KIKUMA, MIDORI NARAZAKI, AKIKO KATO (担当:分担執筆, 範囲:Chapter 9 Security Clauses and Evolving Notions of National Security in the WTO in the Age of ‘Securitization of Everything’)
    Routledge 2023年11月 (ISBN: 9781032044125)
  • 川瀬剛志 (担当:分担執筆, 範囲:我が国裁判所におけるWTO協定の直接適用および条約適合性審査の現在―豚肉差額関税訴訟判決の批判的検討―)
    信山社 2021年10月 (ISBN: 9784797281248)
  • Chen, Lurong, 浦田, 秀次郎, 中川, 淳司, 安橋, 正人 (担当:分担執筆, 範囲:Ch.9, “Disciplines on State-Owned Enterprises under the Trans-Pacific Partnership Agreement: Overview and Assessment.”)
    Routledge 2020年12月 (ISBN: 9780367504397)

講演・口頭発表等

 16
  • 川瀬剛志
    激動の国際秩序はどこへ向かうか 2024年6月3日 (公財)日本経済研究センター  招待有り
  • 川瀬剛志
    世界貿易秩序と経済安全保障の将来 2024年4月16日 (独)経済産業研究所/The Centre for Economic Policy Research (CEPR)  招待有り
    MOUを2014年に結び、これまで毎年共催シンポジウムを開催してきた経済政策研究センター(CEPR)と「世界貿易秩序と経済安全保障の将来」をテーマにシンポジウムを開催する(昨年度は4月13日にパリでCEPRとの共催シンポジウムを開催)。 米中対立やロシアによるウクライナ侵攻などにより、経済のグローバリゼーションが逆回転を見せるなか、世界貿易秩序と経済安全保障は今日の国際社会において重要なテーマとなっている。今回のシンポジウムでは、欧州の代表的なシンクタンクであるCEPRのディ・マウロ所長と、国際貿易政策と経済制裁の専門家であるピーターソン国際経済研究所のジェフリー・ショット氏らを講師として招き、EUと日本がどうすれば混迷を極めている世界貿易秩序を回復できるか、日EUはどのような経済安全保障面での協力が可能かについて議論する。
  • 川瀬剛志
    Associates' Panel, "Japan, China, and Global Economic Orders" 2023年12月4日 Weatherhead Center for International Relations, Harvard University  招待有り
  • 川瀬剛志
    APEC Summit 2023: The Future of Climate and Trade Policies in a World of Geopolitical Divides 2023年11月13日 The Brookings Institute  招待有り
  • 川瀬剛志
    Trilateral Economic Cooperation under the REP Framework: from Present to Future (Trilateral Expert Seminar on RCEP)) 2023年6月22日 日中韓三国協力事務局  招待有り
  • 川瀬剛志
    2023 ABAC 2nd Meeting 2023年4月28日 The APEC Business Advisory Council (ABAC)  招待有り
  • 川瀬剛志
    2023年3月16日 (一財)日本経済研究センター  招待有り
    日本は「自由貿易の旗手」捨てるな―経済安全保障と両立を ①自由貿易体制は、世界貿易機関(WTO)の多国間体制が基礎で、その上にFTA(自由貿易協定)などの地域貿易協定がある重層構造だ。これが弱体化しているのは、①多国間自由貿易体制の衰退②米中デカップリング(分断)と安全保障・通商の接近③サプライチェーン危機――が原因だ。 ②米国主導による「フレンドショアリング」は、価値観を共有し、安全保障で信頼のおけるパートナーとサプライチェーンを構築・強靭化する考え方だ。インド太平洋経済枠組み(IPEF)や米EU貿易技術評議会、(TTC)が代表的で、経済安全保障を意識したアジェンダ設定が特徴だ。 ③こうしたフレンドショアリングの課題は、関税引き下げなどの市場アクセスの約束がなく、協力ベースでの合意や目標にとどまるため、具体的成果と利益が不明確な点で、成否も見通せない。グロ―バスサウスの途上国を置き去りにする懸念もある。日本はフレンドショアリングに過度に依存せず、多角的通商体制を維持するために「自由貿易の旗手」としてリーダーシップを発揮すべきだ。WTO改革、環太平洋経済連携協定(TPP=CPTPP)の維持・拡大、EUとの大連携などを目指したい。
  • 川瀬剛志
    経済安全保障ウェビナー・シリーズ (第4回) 2022年12月7日 (公財)日本国際問題研究所  招待有り
    日本国際問題研究所は、2022年12月7日に「経済安全保障ウェビナー・シリーズ 第4回」を開催しました。このウェビナーは、日本国際問題研究所が実施している「外交・安全保障調査研究プロジェクト」の「経済・安全保障リンケージ研究会」の企画によるものです。全6回にかけて公開開催するこのウェビナー・シリーズでは、研究会主査の飯田敬輔・東京大学公共政策大学院院長/教授がモデレーターを務め、研究会の委員がこれまでの研究成果を基に報告します。 第4回となるこの日は、はじめに川瀬剛志・上智大学教授が、安全保障上の要因により変わりゆく自由貿易体制の現在地についてご報告されました。次に、浦田秀次郎・早稲田大学名誉教授が、FTAと経済安全保障についてご報告されました。続いて、視聴者との質疑応答セッションでは、WTO紛争処理手続きに関する今後の見通し、中国と台湾のCPTTP加入の見通しとその含意等について、活発な議論が展開されました。
  • 川瀬剛志
    大阪倶楽部定例午餐会第3351回 2022年11月30日 (一財)  招待有り
  • 川瀬剛志
    公開ウェビナー「SDGs時代の貿易と環境~ど うなる炭素国境調整措置(CBAM)?~」 2022年7月27日 (公財)日本国際問題研究所  招待有り
    日本国際問題研究所は、2022年7月27日に公開ウェビナー「SDGs時代の貿易と環境~どうなる炭素国境調整措置(CBAM)?~」を開催しました。このウェビナーは、日本国際問題研究所が実施している「外交・安全保障調査研究プロジェクト」の「経済・安全保障リンケージ研究会」と「地球規模課題研究会」の2つの研究会が合同で実施したものです。 赤阪清隆・元国連事務次長がモデレーターを務め、高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授と川瀬剛志・上智大学法学部教授が報告を行い、炭素国境調整措置(CBAM)のEUにおける議論の動向と制度設計の課題、WTOルールとの整合性、そして日本への影響と課題について説明がされました。続いて、飯田敬輔・東京大学公共政策大学院院長/教授と森秀行・地球環境戦略研究機関 (IGES) 特別政策アドバイザーがコメントをし、国際政治から見たルール形成の課題、途上国含めた各国の反応などについて、多角的に議論しました。視聴者からの多くの質問も受けて、活発な議論が展開されました。
  • 川瀬剛志
    中国とWTO-加盟20年を振り返る 2022年5月27日 (独)経済産業研究所  招待有り
    WTO加盟から20年が経過し、この間の中国の経済成長と国際経済フォーラムにおける発言力の伸長は目覚ましい。他方、WTO協定の遵守が不十分かつ不公正な貿易慣行に従事しているとの批判が絶えず、米中対立が激化している。中国の加入時の約束や協定実施のパフォーマンスはいかなるものだったのか、WTO交渉にどのように臨んできたのか、WTO加入が中国の経済成長や構造改革にどのような影響を与えたのか、更にはWTOを中心とした中国の通商外交はどのように展開されてきたのか—法学・政治学・経済学に及ぶ多彩な視点から、中国のWTOにおける20年を振り返る。
  • Tsuyoshi Kawase
    Current Issues in International Economic Law in Japan, Round 1: Japan and WTO at Crossroad, organized by National Yang Ming Chiao Tung University School of Law(國立陽明交通大學科技法律学院) 2021年12月15日  招待有り
  • 川瀬剛志
    Geneva Trade Week, S35: Rebooting the WTO 2020年9月30日  招待有り
  • 川瀬剛志
    CTI-EC:FTAAP Policy Dialogue on Competition related provisions in FTAs/EPAs from a Business Perspective 2020年9月17日  招待有り
  • 川瀬剛志
    Prospects and Challenges for 2020 Global Trade Environment (The Korea International Trade Association) 2019年12月2日  招待有り
  • 川瀬剛志
    The Brookings Institution Event: Modernizing Trade Rules: The TPP and Beyond 2018年1月28日 The Brookings Institution  招待有り
    In February 2016, 12 nations signed the Trans-Pacific Partnership trade agreement (TPP). A central goal for negotiators was to modernize the extant rules of trade and investment, which had not been significantly updated at the multilateral level since the Doha Round began in 2001. Equally important was the objective of disseminating these rules beyond the TPP by enticing other countries, such as China, to adopt these rules to advance domestic economic reforms. The American withdrawal from the TPP represented a major setback, but the remaining 11 countries reached a broad agreement during the APEC summit meeting in November 2017, pointing to a path forward in relaunching the trade deal. The potential reach of the TPP disciplines is also evident as they shape ongoing efforts to modernize the North American Free Trade Agreement. On January 29, the Center for East Asia Policy Studies hosted a panel of experts to discuss the opportunities and challenges of disseminating TPP standards in two critical areas: the digital economy and internet governance, and competitive neutrality and state-owned enterprises. The United States and Japan share the goal of advancing these disciplines even after the American withdrawal from the TPP. Experts from Japan and the United States discussed strategies that each country can pursue in on-going or new trade negotiations to advance TPP rules in these critical areas.

所属学協会

 3

共同研究・競争的資金等の研究課題

 20

その他

 4
  • 2007年10月
    学部、大学院、ロースクール共に無料のブログサイトを利用し、ネット上で殆どの教材を配信している。特に大学院、ロースクールは少人数教育であるので、レポート提出等もメールを通じて行っている。
  • 2004年10月
    学部・国際経済法の授業においては、比較的履修者数が少ないので、前任校(大阪大学)在籍以来法科大学院の準備運動を意識した授業を展開している。特に授業の中心となる世界貿易機関(WTO)協定は判例法によって発展しているので、配布物に判例評釈を多くし、授業中にソクラティックメソッドに準じて判例の内容や含意を問う機会を増やし、双方向的な授業のあり方の感覚を身に付けさせている。
  • 1996年4月
    昨今の学生のノートテイキングの技量の低下を補完し、また講義に集中させるために、講義内容のエッセンスは毎回レジメ化して配布している。学生にはその余白に書き込みを入れることでレジメに沿って理解を進めるよう指導している。